「YouTubeコメント」をテーマに書いたエッセイ

YouTubeチャンネル「なみへいかずへい」の中で、私の恐れている企画に「即興エッセイ」というものがあります。
その名の通り、比較的短時間で与えられたテーマに沿ったエッセイを書いて紹介する企画。
先日それに挑戦しました。

思いのほか早く仕上げることができ、私の中では結構満足していまして。
せっかくなのでブログにも載せておくことにします。

今回のテーマは「YouTubeコメント」。
子どもの頃の体験を交えて、コメントをくださる皆さんへの感謝を表現しました。
ではいってみましょう!

YouTubeコメントをテーマに書いたエッセイ

YouTubeで動画を配信し始めて1年が過ぎ、たくさんのコメントをいただけるようになった。これは本当に嬉しいことだ。打たれ弱い私なので最初はコメントの通知が来るたびビクビクしていたのだけれど、思い切って読んでみるとみんな驚くほど優しい。「どうしてそんなに優しいの?ねえねえどうして?」と騒ぎ立てたくなるくらい。今ではすっかり皆さんとのやり取りが楽しくなり、日々感謝している。

さてそんなYouTubeのコメント、これは私を元気づけてくれる大きな力になっているのだが、実はそれだけではない。文章を書く上での「お手本」でもあるのだ。

作文が嫌いになった出来事

子どもの頃、私は作文や読書感想文を書くのが大嫌いだった。これから文筆業だけでやっていこうとしている人間なのになぜか。思い返してみると、一つの出来事に行き当たる。

それは小学校1年生のときのこと。作文の宿題が出た。テーマは「運動会の思い出」。盲学校に入って初めての運動会を経験したばかりだった私は、何を書こうかと頭の中を探った。思い浮かんだのはその日の朝に起きた事件のことだった。

運動会に参加するため体操服に着替えた後、私はいつものように大切に育てているお花に水をやることにした。「しっかりお水飲んでねー」。そんな思いで優しくお水をかけようとしたのだが、どういうわけかその日はうまくいかなかった。あろうことか、お水を自分自身に盛大に浴びせてしまったのだ。体操服はビショビショになった。

冷たい。嫌だ。不快だ。もう玉入れどころじゃない。リレーどころじゃない。すっかりショックを受けてしまった。私の中ではもう、運動会はこの時点で終了だった。まだ始まってもいないというのに。

宿題の作文ではそのことをありのままに表現した。ずいぶん短い作文になってしまったが、書くべきことは十分書けたと満足した。

ところが、である。その作文は受け入れられなかった。運動会のことが全く書かれていないではないか、というのだ。ビショビショ騒動なんかどうでもいい。なまけてないで、玉入れがどうだったとかリレーがどうだったとかまじめに書きなさい。どうやらそれが大人の意見のようなのだ。

私は納得できなかった。確かに「こんなの早く終わらせて遊んじゃえ」という気持ちが全くなかったわけではないかもしれないけれど、なまけて運動会のことを書かなかったのではない。ビショビショ騒動のせいで印象に残らなかったから書かなかっただけだ。大体運動なんて得意じゃない。玉入れやリレーで活躍できるタイプではないから書きたいことなどほとんどないのである。

その辺りを強く主張したかったのだけれど、小心者の私は引き下がるしかなかった。叱られるのは歓迎しないので最初の作文はボツにし、運動会そのものの思い出を絞り出して借りてきたような言葉を並べることにしたのだった。作文や読書感想文には大人の求める正解を書かなければならない。そう考えるようになったのはたぶんこの頃からだ。

つまらない作業から楽しい作業へ

それからの私は、「常識がないと思われないように」「みんなにドン引きされないように」といったことにばかり注意を向けながら文章を書いていった。それは悲しいくらいつまらない作業だった。

変わってきたのは大人になってからである。SNSなどで感じたことを感じたまま好き勝手に書き散らすことを覚え、「ナニコレめっちゃ楽しいやん」となったのだ。読み返してみても、うまいかどうかは別として、その文章は子ども時代に書いたものよりはるかにいいものに思えた。誰でも書けるようなあたりさわりない文章よりも、私にしか書けない自分らしい正直な文章のほうが書いていても読んでいても楽しいのだ、と気づいたのだった。運動会の思い出を書かなければならないというなら大人の期待を気にして完全に書き換えるのではなく、ビショビショになっていかにモチベーションが下がったかをもっとじっくり語ってみたほうが面白い作文になっていたに違いないのだ。

コメントのような文章が書きたい

YouTubeでいただくコメントには、個性あふれる文章が並んでいる。その人らしさが伝わってくる。会ったこともなければお声を聞いたこともないけれど、長い付き合いの身近な友人のような気がする。実はどんなお声なのかを勝手に想像してはニヤニヤしている。そう、私が生み出したいのはこういう気持ちになれる文章なのだ。

改めて、コメントをくださる皆さんにありがとうを伝えたい。

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