近未来お仕事小説、野崎まどさん『タイタン』感想

面白そうな小説を見つけました。
人工知能が何でもやってくれるから人が働かなくてもいい、そんな世界の物語。野崎まどさんの『タイタン』です。
人はどうして仕事をするのか。最近そんなことをよく考えている私。書評を見て「これだ!」ってなりました。

野崎まどさん。どこかで聞いた名前だなあと思ったら、以前ラジオドラマでやってた『know』の原作者だったんですね。ちょっとついていきづらいところもあったけど印象に残る作品だったな。
『タイタン』も期待できそう。ということで読んでみました。

AIが病気に?

舞台は2205年。人が行っていた仕事はすべてAI「タイタン」が担う世界。
働かなくてよくなった人間たちは、毎日好きなことをして暮らしています。タイタンのおかげでみんな幸せそう。とても平和です。
ほんの一握りですが就労している人もいます。でもこの世界でお金のやり取りというものは不要。対価として得られるものは特にないようです。

そんな中、タイタンの一つ「コイオス」が謎の機能低下を起こします。
その原因を探るために駆り出されたのが、心理学を趣味としていた主人公の内匠成果。それまで働いたことのなかった彼女がコイオスのカウンセリングを行うことになったんです。
そしてカウンセリングの結果判明したのは「うつ病」でした。

生まれてからずっと、「仕事」ばかりしてきたコイオス。
うつ病になったのもその仕事のせいではないかということで、カウンセリングでは「仕事とは何か」について考えていきます。
これ、私も読みながら一緒に考えたのですが、明確な答えを出すのは難しいですねー。

でも、コイオスは与えられた仕事に対して今の私と同じような思いを持っていたようで…
激しく共感しました。
多くの方にこの本を読んでいただきたいな、という気持ちになりました。

それにしても、AIに何でもお任せという世界って、本当に幸せなのかなあ…。
人間にしかできないことだってあるはずなのに。…ってそう思いたいだけかなあ。
この物語の中では、人間たちはAIを完全に信頼していて、「考える」という行為さえもAIにゆだねていて。AIはいつも正しい判断をしてくれるわけですね。
でもさすがにそれは恐ろしいな、と感じました。人が考えることをしなくなったらどうなってしまうのでしょうか…。

仕事って何だろう

読み終えて、改めて「仕事とは何か」と自分なりに考えているのだけれど…
うーん、やっぱり難しいね。

今の私たちは、十分なお金を持っているというなら別だけど、生きるために仕事をする必要がある。
でも、ただ生きるためだけじゃなく、仕事が好きでバリバリやっている人もいる。
仕事をしたくなくて、生活レベルを下げている人もいる。
私はバリバリタイプではないけれど、「お金とか関係なくこの仕事を続けたい」という気持ちで働いている人にあこがれるなあ。

皆さんにとって「仕事」とは何ですか?
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