盲学校の思い出、扇風機革命

暑くなってきましたね。
私の部屋でも扇風機がガンガン働いています。
今年の夏は暑くなりそうとのこと。体調崩さないようにしないとですね。

さて、扇風機と言えば、思い出すことがあるんですよねー。
高校時代に起きた事件のこと。
あれはすごい事件だったな…。
ってことで今回は、「扇風機革命」の思い出をお話ししてみます。

扇風機がほしい

それは高校3年生のときのことです。
6月の暑い日、私たちは美術の授業を受けていました。
人数の少ない盲学校。私のクラスはたったの3人。でもにぎやかなクラスではあったと思います。
その日も作品作りに取り組みながら、あれこれ喋っていました。

一番の話題は扇風機のこと。
「暑いなあ。こんなに暑いのになんで教室に扇風機ないん?」って、みんなで文句を言っていたんですね。
そう、その頃私たちの教室に冷房器具なんていうものはなく、ただただ暑さに耐えるしかなかったんです。

でも、学校に扇風機が1台も存在しないわけではなく。
私たちの身近なところにもちゃんとありました。特別な部屋で、特別なときにだけ活躍する扇風機が。

そのことをよく知っていたクラスメートが、唐突にこんなことを言い出したんです。
「あの扇風機、うちの教室のものにしよう!」

私は、また面白いこと言い出すなあと軽く聞き流していたのですが…
これは「革命」の始まりだったのです。

計画実行?

美術の授業が終わり、みんなで食堂に集まって給食を食べて、教室に戻ったのですが…
私はそこで言葉を失いました。
教室が、快適な空間に変わっている!
こっそり運び出されてやってきた扇風機が、心地よい風を送ってくれているではありませんか。

そういえばクラスメートの二人、なかなか食堂に来なかったんですよねー。
まさかとは思ったけど、本当にやってしまうなんて…。
でも心地よい風に包まれていると、「よくやってくれた」という気持ちになってくる。私たちはそれぐらい暑さにやられていたんですよねー。

みんなが動き出した

もちろん、そんな快適な時間はすぐに終わりを迎えることに。それでもこの事件、周りのみんなに衝撃を与えました。
先生たちからも、「扇風機、やっぱり必要なんじゃないか」という声が上がり始めたほどだったんです。
きっとみんな、暑さに耐えられなくなっていたんですね。

その数日後。たまたま学級新聞のコラムを書くことになっていた私は、二人が起こした扇風機革命のことを記事にしました。もっとたくさんの人に現状を伝えたくて。
ところが、頑張って書いたその記事は、どういうわけか教頭先生に止められて載せられなくなり…。
我ながら結構いい記事だったのに。ショックでした。
でも「載せられなかった」ということだって、もしかしたら扇風機導入のきっかけになるかもしれない。私も革命に貢献できているのかもしれない。そう思ってちょっとワクワクしたものです。

そして数日経った頃。
私たちの願いは思いのほか早く実現しました。
ついに、ついに私たちの教室に、扇風機が導入されたんです!
やり方がよかったのかどうかはわからないけど、革命は成功したわけです。やってみるものですね!
おかげで勉強に集中できるようになった……ような気がしました。知らんけど。

思いをちゃんと伝えれば、状況を変えることができる。
そう思わせてくれた、扇風機革命のお話でした。

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